ビアホイを選んだ女性店主の挑戦

店主:三浦早苗さん BIA HOI カタコト

ベトナムで見たビアホイが独立を後押し

以前、勤めていたビアパブでは、ドリンクの専門スタッフとして働いていました。休む暇もないほど店は繁盛し、多忙の毎日でしたが、もともとビール好きということもあり、仕事はとても楽しく、国内・海外のクラフトビールの仕入れも任されてからは、一層、ビールに夢中になっていったそうです。

そんな充実した日々でしたが、だんだんと、「仕入れの制約にとらわれずに、もっと好きなビールを自由に提供したい」という想いが募っていきました。ビア専門店での独立も考えましたが、既に札幌市内にビア専門店は多数流行っており、自分程度の知識では全然敵うわけがない、と一歩踏み出せずに悶々とした日を過ごします。そんな中、ある人の力添えがあり、1ヶ月の東南アジアの旅に行くことになりました。

旅の中で三浦さんが一番に好きになったのは、ベトナムの”ビアホール”でした。屋台のような場所で、ビールを楽しむ酒場で、現地の人や旅行者等、初めて会った人同士でも1杯15円のビールを片手に楽しそうに飲む姿に魅了されてしまいました。「日本のビール専門店は少し敷居が高いイメージがあるけど、自分はビアホイみたいな皆が楽しんで飲めるような店をやってみたい」という想いが溢れ、独立を決意したのです。「どんな人でも言葉と心の壁を取っ払っていこうよ。」という想いが店名の”カタコト”に込められています。

自分たちのやり方で一歩ずつ

店の一番人気は、ベトナム名物の”バインセオ(750円)”です。豚肉やエビ、もやしを薄く焼き上げた生地を一緒に、レタスに包んで食べるバインセオは、ヘルシーで女性からの人気を集めています。クラフトビールは常時3種を取り揃え、樽が切れたら銘柄を入れ替えるため、お店に行く度に、いろんなビールを楽しむことができます。仕入れビールを選ぶ際は、色味や味わいが偏らないこと、料理にも合いやすいように度数の高すぎるビールは選ばないように気をつけているそうです。

シンガポールのビールはジョッキ300mlで出しています。ゴクゴク飲めて喉越しが味わえる、でも、冷えたまま飲みきれる手頃なサイズだから、とビールを飲む人の気持ちを考えながらグラスも選びます。クラフトビールはグラスで提供しており、スタイルに合わせて専用グラスで提供します。種類にもよりますが、週末は1日でビールの樽が空くペースです。樽あたり20ℓ入っているため、ジョッキ300mlで出すと、単純計算で66杯の出数になりますが、実際はビールの頭出しなどをしっかりすると50杯弱になるそうです。

店内はカウンターが5席、2人用テーブルが2つある、小じんまりしたスペース感が心地よさを演出しています。ビールを仕入れるポイントについて伺うと、「自分が飲みたいと思ったビールを仕入れるのが一番だと思います。実務面だと、外国産の樽はつなぎ目の部分等が違うため、繋げないこともあるので、そういう点は気をつけるポイントだと思います」と教えてくれました。

来月は、1ヶ月間ベトナムをまわるそうです。屋台を中心に、ひたすらビールに合うおつまみを探す旅とニッコリ。「え!?こんなのもあるの?」と皆が知らないような、ベトナムの屋台料理を見つけ、「BIA HOI カタコト」で客様に楽しんでもらいたいと、いきいきとした笑顔で話してくれました。

店舗情報

BIA HOI カタコト

店主 三浦早苗氏

札幌市中央区南2条西9丁目988

TEL:なし