テンポスバスターズグループでは、入社後すぐに、かなり具体的な人生設計をさせます。現状でどんな専門性を身に付けているのか、貯金はいくらあるのか、家族や友達とどのような関係を築いてきたのか、趣味は何かといったことなど、あらゆる現状を踏まえた上で、10年後にはどうなっていたいのかを描くのです。
何を成し遂げたいのかを具体的に考えさせ、目標を設定させます。家を建てたいという社員がいるなら、どこに建てるのか、どれくらいの大きさか、資金はいくら必要になるのか、ローンを組むなら金利はいくらなのかという細かなことまで考えさせ、実現に向かって行動を促します。
中土井 定年制度もないそうですね。何歳まで働くかも社員が自分で決めるのですか。
森下 そうです。定年を設定していないので、生涯現役で働きたいという人はそうすることができます。人生設計プランに沿って、あらゆることを自分で決めて行動できるように制度を整えています。
人生設計プランを描くと、それぞれが目指す働き方も明確になります。自己成長を第一にとらえ、厳しい道を選ぶ人もいるでしょうし、無理をするよりも、ある程度余裕のある働き方をしたいとプランを立てる人もいるでしょう。働き方として、上昇志向の強い激流コースと緩やかなコースのどちらかを選べるようにしています。激しいコースを選んだ社員には、厳しい道が待っており、手を抜くようなことは許されません。
社員が「店を持ちたい」という夢を持っていたとしたら、自己資金で足りない部分は会社で負担することもあり得ます。あさくまの店をやらせてみて、うまくいかなかった場合でも、会社が引き取ることもできます。自分で決めた目標に向かい、必死になっている社員には、会社としてできる限りのことをします。私は、社員自身が立てた目標達成のために会社という舞台を提供するのが社長の仕事と考えています。社員として忠実に働くことよりも独立することを望むのであれば、その人個人の考えに従い、価値ある人生を自分で作ってほしいのです。