25才の新人店長が、任された当月からいきなり全店1位

あさくまグループは、売上65億円を超え、今期100億円をうかがうという発展段階に来たんだから、現場の店長に要求されるスキルの質も変ってきたんだ。

最初、店長たちは言われた通りのことさえ、ろくできなかった。これが、部品でしかなかった最初の段階だ。現在は、言われた通りのことなら何とかできるようになった。第2段階だね。次の第3段階には、大まかな方針だとか目標だとかを示されたら、店長が、自分でフェアなどを企画して、それを具体化し、ノウハウを現場スタッフに徹底して、結果を出していくといった前向きな取り組みができなければならない。そういう店長が増えないと、第3段階には進めないんだよ。なかなか難しいけれども、うれしいことに、新しい芽は出てきている。

今年4月1日に、狭山店の店長になったばかりの25歳の小娘が、4月の実行項目の最終評価で1位を取った。何をやったかというと、ピーカンナッツチョコレート(以下、ピーカンナッツ)というお土産を、ほかの店は、1日平均で2・4個しか売ってないのに、この子は母の日1日で48個も売ったんだ。しかも、5月には、月間で558個も売った。ほかの店では、平均で月に70個しか売っていない中でだ。ポップやリボンなどのデコレーションを独自に考えて、スタッフと一緒に取り組んだ結果だというから、たいしたものだ。

もっとも、この川田という小娘店長の5月の実績のうち、150個は勇み足だった。最後の追い込みの時期に、テーブルを回って売り込み、ピーカンナッツを買ってくれたお客にはくじ引きをして、ドリンクバーの無料券を配ったという。無料券は独断だったから、当然、エリアマネージャーは怒った。ルール違反だから怒られて当然だし、3日間で売った150個による利益はほんのわずかなものだ。

とはいえ、月間600個の目標に向かって、勇み足をしてまで数を取りにいった小娘店長のエネルギーはすごい。月間70個しか売らない店長たちとは、別次元だ。

この川田による実績の波及効果だろうか。5月のピーカンナッツ販売の第3位には、富士店の植田(27歳)が躍り出てきた。さらに、5位には、南柏店の山崎(27歳)も入ってきている。

つまりだ。ここ5~6年の間に、現在は9項目ある実行項目を、店長にやらせて、ほめたり叱ったりしているうちに、現場から新しい芽が育ってきたんだよ。40代、50代の店長は、ピーカンナッツという新しいお土産、売上アップのツールを与えられても、「またか。難儀だなあ」などと思って、ろくにお客にセールスしようとしなかった。その一方で、あさくまのニューウェーブというか、20代の若手店長たちが、自分で取り組みの方法まで考えて、すごい結果を出している。未来のあさくまは、彼らのような若い世代が作っていくのかも知れないね。