落合監督のやり方を変えようとした高木守道監督は、なぜ失敗したか。

落合監督は『選手には家族がいる。もし俺が試合後のコメントで名指しで批判したら、妻が何かいわれたり、子供が学校でいじめられたりする可能性が大きい』と公の場で選手にチクリということはなかった。あまりしゃべらないことでマスコミ受けが悪くなっても、選手をかばい続けた。
イメージで“異端児”と思われがちだが、現役時代の落合氏ほど監督に従順な選手はいなかった。長嶋茂雄監督のもとで日本一に輝いた巨人時代の1994年、チームのカンフル剤を与えるために、9月10日の広島戦で一度だけ4番を外されている。この時のことについて、自著『激闘と挑戦』(小学館)でこう述べている。
〈監督が「5番を打て」と言えば打つし、「6番を打て」と言えば打つ。それは監督が決めることであって、その決定が嫌だったら、オレはユニフォームを脱がなきゃいけないわけだからね〉

「1985年のシーズン終盤、落合氏は52本の本塁打を放ち、王貞治氏の持つシーズン55本塁打(当時)の記録を塗り替えるチャンスがありました。ところが、稲尾監督に『来年に向けて、できれば残り試合で若手の力を見極めたい』といわれ、『いいですよ。明日から休みます』と即答したといいます。今となってはもったいなかった気もしますが、こういったところに、落合氏の監督采配を尊重する姿勢がよく出ていると思います」

前任があまりに凄いと、後任はそこそこ成功しているのに認めてもらえないというジレンマを抱えやすい。それが後釜の辛いところである。それは勝負の世界、高校野球でも如実に見られる。

「甲子園に導くだけで普通は賞賛されるのに、名将の後釜だとそうならない。常総学院の名将・木内幸男監督が2003年に勇退した後は、後任の監督は、甲子園に出場しても初戦敗退続きのため批判された。今夏は10年ぶりのベスト8なのに、やはり“木内マジックがないと優勝できない”といわれた」(スポーツ紙デスク)

こうなると、批判を避けるために、凄すぎる前任の功績をあえて貶めることで、自らの評価を上げようとする人がいる。しかし、これは典型的な失敗ケースなので止めた方がいい。例えば、プロ野球・中日の、落合博満監督から高木守道監督への交代だ。

中日を常勝軍団に育てたものの、無愛想でファンサービスをしない落合前監督を“否定”するというフロントの意向を受けて、高木監督が指揮を執ることになった。キャンプでは監督自らサイン会をやるなどファンサービスに努め、落合体制からの脱却をアピールしてみせた。

しかし客足は伸びず、今年の開幕当初の観客動員数は約11%減(前年同期比)と、12球団で最大の落ち込みを記録。肝心の成績も昨年こそ2位だが、今年は12年ぶりのBクラスに転落してしまった。
前任者との違いを強調したいあまり、無理矢理体制を変えようとする。企業でよくあるのが、トップの交代でいきなり社屋を建て替えたり、勝算のないまま新規事業に乗り出したりすることです

女房のお袋は女学生時代いつも学年でトップの成績だった。
自分の旦那の批判をしょっちゅうしていたが、的確でうなずける内容だった。
70過ぎているのに、離婚したいと言いだした。
30年も40年も一緒にいて、今頃になって何を言ってんだ。と子供達からたしなめられたが、
旦那死んで1年もしないうちに、寂しい寂しいと訴える。
俺も少なからず義母の頭の良いのを尊敬もしていたてまえ、旦那死んで自由になったら、日本はおろか、世界中を飛び回るかとおもいきや、家に一人ぼっちで閉じこもり嘆いている姿をみて、
がっかりしたものであった。
旦那死んで一年もしたら、自由に人生を謳歌しないで不幸ヅラして、
義母は、旦那という木に絡まっていた「つる」だったのだ。
自分では何もできないのに、批判ばかりしていたが、
それは自分だったらこうする、というのではなく、主体性もなく批判していたにすぎなかった。

落合監督は選手時代、監督の指示に従ってプレーをするのは当たり前、あれだけの実績のある選手でも、自分の使われ方に文句を言わなかった。
指示に従ってプレーをするのは、主体性とは関係なく指示に文句をいうべき問題ではないと決めていた。
一方で我々の周りを見回すと、実績もないのに上司に文句を言ったり、会社のやり方を批判したりする輩がごまんと居る。
テンポスで元管理職だっひとが入社して来て、しょっちゅう若い店長のやり方を批判して私に訴えた。
店長は立候補制だから立候補せよと説明しても、店長にはなりたがらない。
そのくせ批判が続くものだから、命令して店長にした。
その年その店は全国の下から二番目の実績であった。

高木守道監督は、中日を作る力も構想もなく、落合監督のやり方を変えようとしただけで、
その能力しか無いものを、批判だけ聞いていれば的確に指摘するものだから、
フロントは、勘違いをしてしまった。

批判は誰でもできるし、然も的確に出来る。
しかし「批判は全く価値がない」
構想力が必要である。
M&Aをしたら前任の経営者の批判をしてはいけない。
その会社をどの様にするかを考えれば良い。
その中には前任者と同じ事もすれば、全く違ったこともする。
自分でM&Aをしてきて上手くいかなかったのは、その会社をどうするという構想よりも、
問題点を改善しようとしたことが、大きな原因であった。
問題点を解決しても構想力がなければ、地図も羅針盤もない船長と同じでどこに着くかは分からない。