今回、取材をさせていただいたのは、2019年3月にオープンした「からチキ本舗」。オープン初月で、坪売上高30万円の大繁盛店だ。忙しい中、無理を言ってオーナーの山口さんから直接お話を聞くことが出来ました。
「からチキ本舗」のお弁当は、男性が一口では食べきれないくらいの迫力とボリュームがある唐揚げが4個入っているにも関わらず、550円という驚きの安さで提供している。しかし、「これって、経営的に大丈夫なの!?」と率直に思ったので、オーナーにストレートに聞いてみると、「お弁当だけでは、正直やっていけないですよ。」とのこと。
鶏のから揚げは、決して単価が高い商品ではない。また、外食店にとって「から揚げ」はサイドメニューである。それがなぜこんなにも儲かるのか??
山口氏は開業する前から、4人家族(父母・子供2人)のお母さんが、家族の喜ぶ顔を想像しながら夕飯のおかずに鶏の唐揚げを買って帰るイメージが出来ていたそうだ。
父: 3個
母: 2個
子: 3個×2人=6個
合計:11個
「からチキ本舗」の単品のから揚げは1個(60g)\130~。つまり、一組あたりの客単価(ひとりのお母さん)は、\130×11個=\1,430~という計算になる。アルコール無しの業態で、1500円近くの単価はなかなか取りづらい金額ではないだろうか。この客単価のお母さんたちが夕方前後になると列を成すというからスゴイ。しかも予約のTELは鳴り止まない。そこで、次に気になるのは、どうやって行列を作るに至ったのか。
山口氏曰く、オープン前の告知はほとんどしない、その代わりに店舗のファサードと看板はドデカく、ド派手にして、この場所に唐揚げ屋が出来ることをアピールした。次にオープンに合わせた折り込み広告。そこには必ずクーポンを付けること、そして必ず大きな文字で「電話でご予約可能」と目立たせるようにした。さらに折り込み広告を使って新メニューとクーポンの配信は定期的に行い、その際、店内はPOPを使って来店していただいたお客様に優先感を感じていただけるような工夫も怠らない!!!
そして、さらにここからが大切なポイントだと話すのが、オープン後、TVやラジオの取材は定期的に間隔を空けて受けるようにしたこと。取材依頼をされるがままに、取材を受けてしまうと、露出の効果が薄れる以上に、オペレーションが崩れてしまい、対応が悪いとリピーターになってもらえないから要注意。
どうだろう。集客で悩む飲食店が多い中でも、物販の要素を強くした業態が今、大繁盛している。
物販が加わると店頭に行列が出来、これほどまでに客単価が変わるものかと「からチキ本舗」を取材して考えさせられた。他にも、出店立地に困らない事や、人材の確保等、貴重な話がいっぱい聞けたが、今回はここまで。 なぜなら、書いているとから揚げが食べたくなったから。
取材協力
静岡・静岡市駿河区「からチキ本舗 丸子店」
静岡県静岡市駿河区丸子3-12-92
℡:054-268-2160
杉山俊介(テンポス静岡店)