店長の覚悟と言うと、「店を守る」
覚悟と責任持ってやるのと、どの様に違うか。責任持ってやる事を超える。これが覚悟だ。
店員をみんな敵にしても、一人ぼっちになっても、店を護る気概は有るか!
テンポスの店で、トラックが壊れたので、買い換える。
予算は50万との事。
50万で探す。案の定。一つ月もし無いのに故障してしまった。
店員からのクレームに、「会社がケチで、50万しか予算をくれないから、しょうがないじゃないか」
もし、50万の予算を貰っても、30万の車にしようと、自分で決めて、買ったとする。
「安いの買うから、又故障したじゃないですか」
「ふざけた事をいうな。50万の予算を、丸々使わないで30万で探そうと、中古車屋を6社呼んだ。
休日には、千葉、埼玉、都下を何回も回った。
良さそうな物を見つけても、交渉で価格が折り合わず、ダメになったことも何回もある。
ヤット見つけて買ったトラックを、安いの買うからだ!だとぉ!
テメェデ探して来い。ふざけた事をいうんじやぁない!
探せったら、探せ無いくせに、そっち側にいて、文句だけは一人前、探して来いよ!」
「会社がケチで予算をくれないからしょうがないじゃ無いか」とは、決して言わない。
この差はなんだ!
言われたことをやったのではなく、自分で30万に、決めて実行したから、かいしゃのせいにしないで、向こう側にいて、人のやったことを、批判して、泥をかぶろうとはしない姿勢に怒っている。
この店長は、経営者と同じ観点で、仕事をしてると言える。
言われたことを責任持ってやる。姿勢でなく、自分でもっと困難な目標に設定し直して、実行しているからだ。
「朝起きてから、今午後3時
貴方は、幾つ意思決定しましたか?」
この問いを、25名の社員に聞いてみた。
殆どの社員は、3~5つだった。
「奴隷と、無期懲役だったら、どちらがいいですか?」
討論を進めていくと、段々奴隷の方が増えて来た。
「自由度」の多さで、判断をしている。
朝起きる時間、もう少し布団にいよう。トイレの前に水を飲もうか。
水を多めにしよう。歯を磨くのに、もうちょっと強めにしよう、歯茎にかける時間を増やそう。
数え上げたらキリ無く意思決定をしている。
奴隷だろうが、懲役だろうが、200や300の意思決定をしている。
「貴方は3~5の意思決定をしたといいましたが、奴隷よりも、自由が無いわけですよね。」
どうでも良い事を数えていなかったと、言うなら、どうでも良い事では無い事とは、何ですか?
人間とチンパンジーの、、遺伝子の差は98.8%同じ。
僅か1.2%の違いが私は人間ですと、いう事になる。
その違いは、「創る」
「自分を創る。明日を創る。」これだけがにんげんの、証明である。
テンポスでは、真面目に一生懸命だけの人は、怠けもんと呼んでいる。
自分を創る、明日の会社を作ろうとしないで、真面目に一生懸命だけの人は、人間になろうと努力をしないのだから、「怠けもん」とよんでいる。
今日を生きるのは、動物である。明日を作ろうと生きて始めて、「人間です」
「人間」でも、奴隷と、自由な人間の差は何か。
命令された事をやるだけでは、奴隷と同じ、自分の人生を、奴隷と同じに貶めている。
自由な人間はなにをすべきか。
与えられた指示、目標、予算を、自分の目標に置き換える事。
自分で決めた目標にかえること。
冒頭の、30万でトラックを買った店長は、命令された予算を、自分の決めた30万に、置き換えた時点で、奴隷から開放されている。
奴隷のいかに、多い事か!
奴隷から開放されていると言っても、競争社会で任せられる店長と言うわけにはいかない。
「店長の覚悟」
その一つ、「店を守る」
店長の貴方は、みんなから好かれている。
貴方の会社が、ここ数年少しづつ、前年比を割って来ている。
会社では、メニューを変えたり、商品のボリュウム、品質管理色んな事をやったが、なかなか効果的な手を打てなかった。
直営店30店の、居酒屋。全国の、小さな酒蔵の、特色のある「お酒」を50~80種類も置いて有り、
従業員の中には、自分の休日には、家族旅行を兼ねて、地方を周り、掘り出し物の、マイナーな銘柄を見つけてくる人も、数多くいた。
日本酒だけでは、飽きられて来たのか、いろんな手を打って見たが、100%割れから脱却できないている。
企画会議、店長会議で何回も検討した結果、「ワイン」を置いてみようと言う事になった。
貴方の店のパート達は、他店の人たちよりも、休日に、銘柄探しに出かける人が多かった。
パート達は、今迄の「日本酒の殿堂」を誇りにしてやってきた積りが、足元から崩れ落ちる様な寂しさを感じて、辞めると言い出した。
いくら説得しても無駄。ますます頑なになるばかり。
今迄 本当に良い人間関係の店で、定着率も高く、やり甲斐のある職場だと思っていたのだが、
虚しさを感じている店長。
其れよりももっと困るのは、一片に5人にやめられたんでは、店が回らない。
途方にくれてしまった。
パート5人と、本社に直訴した。
もう少しこのままでやらせてくれ、接客でもっと頑張ってみるからとか、色々訴えてみたが、「ノウ」であった。
「裏切られた、こんな会社に、一生懸命やってきた自分が、バカだった」散々言われたパートに向かって「しょうがないよ、会社の方針なんだから」と言った。
「おしまい!」貴方は店長ではありません。「おしまい!」です。
テンポス道場「管理者への道」
(原典 管理者養成学校 素読)
部下に気に入られようと、上司や会社攻撃に走る若武者型の管理者よ。
あなたはもっとも管理者に値しない。自分が部下に好かれるに違いないというその甘さ、
部下の拒絶反応にあいたちまち部下の仲間入りするその無責任さ、部下と一緒に上を攻撃
するその卑劣さ。
だが知っておくがよい。管理者とは人を使う立場であるがゆえに批判される存在である
ことを。
部下の攻撃の矢がふりかかり、防ぐこともできずに血を流さねばならぬことを。おそらく
あなたが嘲笑の対象にしている成績の上がらないオジサンにしても、身を隠すことなく矢を
受け止め、血を流しているという点で、あなたよりはるかにすぐれた存在だということを。
あなたに言いたいのは、次のことだ。弓と矢を捨てなさい。部下の群れから抜け出して
管理者の居場所まで出て来たまえ。次に部下に胸をさらし攻撃の矢を受けなさい。少なく
とも管理者であるなら。管理者を辞する気がないのなら。矢を受け血を流すようになって
から、あなたにとって初めて管理者への道が始まる。
以上
パートに責められて、するりと身をかわし、自分を楽なところに置いてしまった店長。
覚悟とは、パートが理解してくれなく、いろんな手を打ったがやめてしまうと言う。
辞めるならやめろ!一人になったってこの店を守り切ってみせる。このこころいきを「覚悟」と言う。