カンブリア宮殿 秘話

20日のカンブリア宮殿にテンポスが取り上げられた。
構成といい、カメラワークといい、素晴らしい出来栄えでした。
森下篤史の飾らない話し方。これが見ている人を楽にさせた。
草刈りした干し草を背負う場面では、前々日の雨で相当重くなっていたが、見た目には干し草だから、あまり少なくては村の衆に笑われると思い、無理があるのは分かりつつ、こらしょと集めて背負ってみたが、案の定立ち上がれない。
カメラは上の方、背後から撮っている。
草の塊がモソモソと動き始めた。
やっとこ立ち上がった俺が、斜面の草刈り場で、後ろにひっくり返りそうになるのをこらえて、前のめりになり、目の前の生えている草をつかみ、よろよろと立ち上がった。
草の塊が動いていたのは中で、人が背負っていたんだと、理解出来た。
はあはあ言いながら、斜面を登りきって上の道まで出て来た。
相当前のめりでないとひっくり返る。
ゆっくりゆっくり、はあはあ。
カメラを通して、汗がポタポタ落ちるのが見える。
カメラは低い位置道路に近いところから、俺の必死にこらえているところを映している。
途中で休んだら立ち上がれそうもない。我慢して歩き続ける方が良い。
やっと畑について、草とともに後ろ向きに倒れこんだ。
畝の間に干し草を並べてひと仕事終わり。
一気にやってしまった。息絶え絶えで道に、大の字になってねころんだ。
すでにカメラは、家の全景を撮りにどこかへ行ってしまった。
3分か5分かまどろんでいるところを、カメラマンが見つけて撮りに戻った。
くたばり果てて情けない姿を晒してしまった。

こんなで出して始まったカンブリア宮殿はなかった。
村上龍さんは、250億もやってるトップが、好き好んで何が嬉しくて汗たらたらではあはあ言ってるのか聞き出そうとしていた。
生まれた時から百姓を手伝ってきた。
そのせいで、遊んでるひとを見て羨ましいとも、自分のやってる事が大変だとも思った事はない。
55才の時から夏場は月2回百姓をしに戻って、13年になる。
蜂にさされ、蛭に血を吸われ、汗を垂らしているのが居心地いいのだと思う。
村上龍さんは呆れかえっていた。
業者にやらせればいいのにと。
これは、生きている事を実感して、そこに喜びを見つけている。
まさに、仕事も生きている事を実感しているかが、自分のスタンスとなっている。
楽な道では生きている事を実感できない。
これからずっと、いばらの道を歩き続ける事だろう。