若い頃から職務質問を受けて、執拗に追求されたり、スピード違反をして逃げおせず捕まって、取り囲まれていじめられたりして、ポリ公に良い感情は持っていないが。
夜の12時30過ぎ、半分酔っ払って、駅を降り立った。
ポリ公が寒い中を、自転車に乗って向こうからくる。
長年の習慣で、一瞬たじろいで逃げようとするが、そうか!このところ真面目な市民をやってるので、逃げる必要のない事に安堵する。
出張の朝暗い銀杏並木を、駅に向かって歩いていると、白い息を吐きながら自転車を漕いでるポリ公に出会う事がある。
70才近くなると、昔からポリ公に持っていた悪感情も薄らいで、仕事とはいえこいつら、毎晩寒い夜中に、街ん中回ってくれているんだよなぁって気になってくる。
3年前の今頃、近所の交番に俺が作ったお茶を持っていった。
朝早く犬の散歩ついでに、寄ってみた。
「俺が作ったお茶だけど、飲んで下さい」
「エッ何ですか?」
「俺が作ったお茶だけど、飲んでもらおうと思って」
「ああそうですか」不審そうなそ振り。
「何を飲まされるかと、余分な心配をさせちゃいけないので、言いますが
俺は3丁目12~8の森下篤史と申します。電話03 123 4567です。
こんな事を3年6回続けている。
ある日駅まで人を送っていこうとした。
ロータリーに入るところに、お巡りさんが立っていた。いつもの光景。
そのままロータリーに入ったら、お巡りさんがすっ飛んできて、全く止まろうとしなかったが、一旦停止ってご存知ですね。
やっちゃったよ。
持ち点0 即免停
ハイこちらに車を止めてください。
免許証の住所を見て「地元の方じゃ無いですか!頼みますよ、初老の私が寒い中立ってるんです。」
と言いながら、「3町目の森下さん?うーん、時々お茶を持ってきてくれる人ですか」
「ええそうです、実家で栽培してるお茶です」
言い終わる間も無く
免許証を突っ返すようにして、
「私見てないですからね、ここにいなかったかですからね!」
と言って足早に去っていった。
余計にお巡りさんを好きなった。
今日は勤労感謝の日、何に感謝しようかと考えてみた。
今年は11月も早くから寒い日が続く。
夜中に自転車に乗って街を回っているお巡りさんを見かける事がある。
ごくろうさんだなぁ、有難いもんだなぁと思った。
そうだ、感謝の気持ちを込めて、俺が作ったお茶を飲んでもらおうと思って、持ってきた。」
心配も溶けたようで、顔がほころんで
「そうですか、みんなで飲ませてもらいます」と言って受け取った。
以降年に2回お茶を飲んでもらっている。
既に3年経った。
先日臨店指導が終わって同乗の社員を駅まで送った。
ロータリーの所にお巡りがたっている。
毎日犬の散歩て通る道。
ロータリーには入った途端、お巡りに停められた。
「まるで一旦停止する気が無かったようで、スーッとロータリーには入ってきましたが、ここは一旦停止ですがご存知ですか」
「ああそうですね、」
既に持ち点がないので、免停だ。
「ロータリーの外れのあそこに止まって下さい、付いてきてください。」