「正敏ぃ、高校生のくせに早くタバコやめないと就職試験受かんないよ。母ぁチャンが、心配してたぞ」
「うるせいや、人の心配してないで、敏子姉ぇ、早く嫁にいけよぅ」
田んぼの一本道。バス停の横にある雑貨屋。婚期の遅れた敏子姉ぇが、年老いた母の面倒を見ながら、
細々と商売をやっている。
「正敏ぃ、何だよ、だらしない格好をして、ほらぁ」 と言いながら、
嫌がる正敏の学生服のボタンをとめる。
「うるさいなぁ」 とはいうものの、がきの時から、正敏ぃと言われてきたから、
学校でつっぱっていても、敏子姉ぇには逆らえない。
「売れ残りだけど、トマト持って行きな」
「たまには、そっちのきれいなのを、もたせろ」
「こっちは、売りもんだぁ」
テンポスの顧客満足は、敏子姉ぇ。