崖っぷちの経験から知った本物のリーダーとは

歴史を見れば転換期には傑出したリーダーが出現します。しかし世界的に不安定な転換期にリーダーの出現を座して待つようでは神に運命を委ねるようなものです。凡庸な人でも意志さえあれば経験や反復トレーニングにより誰もが優れたリーダーになる事が可能なのです。

私は厨芥物(生ゴミ)をキッチン排水口から水道水とともに粉砕処理する生ゴミ処理機「ディスポーザー」を輸入から販売・メンテナンスまでサービスを展開する㈱日本エスコを経営しており、当社のようにワンストップで提供するディスポーザー専門企業は見当たりません。

この記事をご覧になる方の中には、新型コロナ下で大変厳しい状態、不安な状況で業務に当たっている方も大勢いらっしゃるかと思います。私の歩んできたディスポーザーや業態でも同じように営業や宣伝行為そのものができない理不尽な状態に追い込まれた経験があり、その時は10億以上あった売上が2年ちょっとで1億以下にまで激減しました。商材は同じでも業態として継続できない為に業態変更を繰り返しました。今回の新型コロナに関連した飲食店や旅行関係業種への営業の自粛が報道された時にはフラッシュバックが蘇ります。

しかしこのような苦しい時こそ伸びる時であるのも事実です。

リーダーとは社長であったり店長であったり部活のキャプテンであったり、人々が目的をもって集う組織に存在します。

弊社では前業態である営業系業態時代のリーダー向けテキスト「エスコ・リーダーバイブル」を現在でも使用しています。このテキストは当時の幹部社員である海上自衛隊出身者や米国海軍へコストをかけずに成果を上げるための組織監査をした会社にコンサルをしていただいた経験が基になり作り上げられています。

当時は日々、飛込営業や電話でアポイントを取り新規販売を行うなど、毎日ゼロベースから見込み客を探し、売上を作らなければ営業マンや会社が成り立たない業態で毎月1日には顧客がゼロからのスタートです。

日々、野良犬のように餌を探し続け、餌が無ければ餓死してしまうような日々は常に崖っぷちでした。ハンター型業務に携わる人はエネルギーの塊である反面「あく」も大変強くこのような人を束ねるには一筋縄ではいきません。羊では狼の上には立てないのです。

羊を狼に仕立て上げるには

成果を目的とする組織形態は軍事組織が原点・頂点にあり経験と知恵がノウハウとして継承されています。このようなノウハウを利用しない手はありません。羊を狼に仕立て上げるのがリーダーバイブルになります。

過去には営業ノウハウを覚え直属部下を10人以上引き連れて独立した社員が複数いました。しかし、残念なことにどの社員も1年ともたずに失敗をしています。これは事業を継続する、または拡大するには顧客を獲得するノウハウの所有、売上利益が見込めるだけでは難しいという事を物語っています。

覚えたノウハウを持って自分達で独立すればダイレクトに収入が増えるという発想ではそこに未来はありません。すぐに行き詰まり内部崩壊が始まります。己やチームをリードできないのです。いずれ販売ノウハウも陳腐化しますので新たな顧客を想像する企画能力も必要です。

飲食店で置き換えるなら例え美味しい料理を提供でき魅力的なお店作りが出来てもOPEN後に事業として継続した利益を出すこととは別事項だと言えます。どの業界でも良い製品だからといって売れるわけではありません。良い製品に越したことはありませんがそれらを動かす人、つまり何を売るかより誰がどのように売るかの方が重要なのです。美味しい料理を提供するよりトータルでお客様が満足して帰っていただく方が事業優先順位が高いのだと思います。

現在は新型コロナ下で大変な変革が必要な飲食業界だからこそ各店舗には覚悟を持つ真のリーダーの出現が切望されます。一人で店舗を運営している場合は自分自身が真のリーダーにならなければなりません。そこで僭越ながら次号から弊社のリーダー向けテキスト「エスコ・リーダーバイブル」をご紹介させて頂きます。

何かしら皆様の事業の「レシピ」になれば幸いです。

記事執筆

株式会社日本エスコ 代表取締役 志田 扶

1992年 25歳で家庭用/業務用生ゴミ処理機「ディスポーザー」の輸入・販売・メンテナンスで創業。現在はインフラとしての行政管理型ディスポーザーも提唱。家庭用のみならず多くの飲食店や病院・商業施設に業務用ディスポーザーを販売。