独立しろと言われた時、正直萎えた。そして待ち受けていたもの。

浜松を中心に、静岡県で「池めん」を4店舗経営する株式会社アイスタイル。その池田社長から”のれん分け”という形で独立を持ち掛けられた北上店長は入社して5年、やとわれ社員で安定した給料、家庭もある、家も建てたばかり。子どもは中学1年と小学6年、これからお金がかかるわけで。しかし家族の協力もあって腹をくくった北上店長兼オーナーは何を思い、どう行動したのか?

(北上店長)いや僕ねー正直独立する気全くなかったです。飲食って大体3年以内に潰れるイメージあるから怖くて。

(杉山)職人と言うか、お金もらって職人やってる方が楽だって言う人もいて。オーナーになるってことはスタッフの教育だとか、いろいろありますからね。

そうですね、ぶっちゃけ人の問題、大変ですから。でも、我慢するしかないです。最初の頃は10言いたいことがあって1言うだけでもう怖くって。だって、一人欠けると営業出来ないわけですから。でも池田社長のもとで5年使われて、いろいろ勉強させていただきました。すごく優しいんですよ、社長に惚れて僕もこのままじゃだめだなぁっていうのでガラッと変わりました。

(杉山)人の問題って最終的には居てもらわないと困る、てなパターンじゃないですか。そこをどこまで妥協しながら育てるかが、一番難しいんじゃないですか。

そうだね、人によってレベルも違いますよね。

(杉山)テンポスの社長が、スタッフ教育は徹底できるかできないかだって言ってまして(詳しくはスマイラー53号のラーメン特集をご覧ください)。何かって言うとラーメン作るときにタレを40 CCのレードルで一回入れるって時にぴったり40 CC入れさせるのがどれだけ大変か、ってことです。

それってすごくわかります。

(杉山)これってすべてに通ずることだと思う。お客さまにありがとうございましたって挨拶する時も、目を見て心を入れて言うのと、何かやりながら言うのって伝わり方が違うじゃないですか。そこを教えるのがすごく難しい。結局は一回で済まさない。

それで言うと、独立してからお客さんに対する笑顔が増えました(笑)。

これまでは笑顔じゃなかったんだよね。今はもう目と目が合った瞬間、にっこり笑顔。やっぱりそこは雇われ店長と自分の店の違いなのかなぁ。

(杉山)自分の店って、家族がいて一緒に働いてるみたいな感覚なんでしょうね。多分、見てる目線が一つ上になると、いろんな細かなところが見えてきたりするのでは?

テンポスさんに餃子の機械を入れてもらってね、どうしたらもっと餃子が出るようになるんだろう、オペレーションが楽になっただけではちょっとマズイと思ったわけ。だから“餃子美味しくなりました”ってPOP作れば出るんじゃないか、って。やってみたらバカみたいに売れるんですよ。焼きも安定していてロスも少ないし。スタッフたちも楽になったって言ってますよ。

(杉山)僕はオープンの時からもう何回も来てるんですけど、お客さんが凹んでいるイメージってないですよね。

それはなぜかって言うと、バイキングコーナー強いですね。ないですからあーいうの。牛だしスープも始めて、これも大好評。損して得取れですよ。お客さんもどっかでお得感なかったらリピーターにならないです。あそこ美味しいしお腹いっぱいになるから週一回いや、週2回週3回行こう、みたいになってくれるといいじゃないですか。

(杉山)そこは池田社長も同じですよね。最後にのれん分けで店やってどうでした?

実際蓋開けてやってみると、もう楽しくて仕方ないんです。

おわり

取材協力:池めん 藤枝岡部店
静岡県藤枝市岡部町内谷641−3
℡054-667-2500

■静岡店 杉山さん

記事:スマイラー特派員
杉山俊介(テンポス静岡店)