歴史を体感 郷土愛が生まれるカフェ

えびすけ株式会社の海老子川さんが尊敬するクリエイターの小山薫堂氏。彼の東京にある事務所の入口はパン屋さんなのです。受付嬢がパンも販売し、利用者の9割はここが、あの小山薫堂の事務所とは知らないというのがすごく面白いなあと思って、旭川という北海道の地方都市でも成り立つか、実際にやってみた。それが福吉カフェなのです。このたび、2号店を札幌にオープンしました!

―この仕事をされる前に、編集の仕事をされてたじゃないですか、そのへんと福吉カフェとはどう関係しているのですか?

海老子川さん

うちの会社は広告代理店であって、マーケティングというフィールドで勝負をしていきたいと思っているんです。いろんな仕事をやってると繋がりとかもあって、まさに編集の仕事してた時代のクライアントだったあんこ屋さんとお茶屋さんがそれぞれの将来を考え、悩んでて、それを私がコラボさせて、発信するっていう作業を一緒にやって現在に至るって感じかな。

クライアントのための活動を自社のためにもやってみたら広告代理店としての宣伝にもなるし、相乗効果が得られるんじゃないのかなっていう風に思ってやってます。

―旭川の魅力を伝える工夫とかは?

福吉カフェは、その場所がもっと好きになる、その地域がもっと好きになるメディアだっていう位置付けで展開しているんです。旭川で96年の歴史建築をリノベーションしてカフェにすることで歴史が語れるし、長い年月かけて蓄積されたもの、例えば店内の郷土文学とか写真集とかを置いているんです。そうすると、観光客は旭川の歴史が分かるし、地元の人たち、自分たちが住んでいる地域のこと意外と知らないですから、歴史を知ることでなぜ自分はこの場所に住んでいるんだろうっていうことまでつながってくるわけですよね。そうすると地元にも愛着がわくと思うんです。そういうコンセプトでやっているので、伏古に築60年くらいの物件を見つけたので、自分の中ではイメージが広がったから、今回出店したという次第ですね。

―そういう動きの中で、お客様を巻き込んだ活動などもされる予定はあるんですか?お客様と一体になって地域を盛り上げようみたいな動き?

もともとメディア出身なので、情報が常に集まってくる環境にいたし、本店はそういう機能を持たせて、観光情報から、いろんなパンフレットとかを設置するボードとかも作ってるんです。要するに情報発信の機能を有しているので、札幌の店でも東区とか、札幌の観光情報とか、地域を刺激するようなパンフレットとか写真集とか冊子とかを用意したいなと思ってます。

―タピオカブームってどう思ってらっしゃるのかな?それからポストタピオカはなにがくると思ってらっしゃるのかなと?

まずタピオカブームはいま第3次が来て、いよいよロングテールとして確立したんじゃないかなと思っています。だからこれからは特別なものじゃなくて、タピオカが選択肢の中にあるのが当たり前になるのではないでしょうか。

その一方で、プラスティックのストローとか、容器とか使いにくくなってる時代ですよね。タピオカはストローがないと成立しないものだと考えていくと、SDGs(持続可能な開発目標)とか、感度の高い消費者の人たちは、やっぱタピオカってエコじゃないからってことで倦厭(あきてイヤになること)される象徴になっていくような気がします。

ポストタピオカは。いま三越丸井百貨店であんこ博ってやってるんですね。タピオカの反動なのかもしれないんだけれども、固形だけれども飲むものっていうのがブームの先端なのかなと思っています、たとえば飲むプリントか。そういうワラビ餅とか、ゼリーのような食べ物と飲むもののちょうど狭間みたいなところにトレンドはあるのかなと思っていて、うちは温故知新であんこがくるのかなあと思っています。あんこの甘さは、チョコレートとは違う優しいものがあるし、全然イノベーションされてないので、これから例えばうちは、お汁粉を少し進化させて、少し具材がのっているインスタ映えのするようなおしるこを作るとか、粒餡を進化させてたいと思っています。

――そういうのを踏まえて、旭川のお土産として商品を開発していく計画とかっていうのは?

まず旭川のお土産の分析をしていくと、白い恋人みたいな決定的にブランドバリューのあるお土産ってなくて、まずそこの4番バッターみたいな打席はまだあいてるから、そこに刺さるような商品を展開したい野心を持っているんです。製餡会社と一緒にやってる強みもあるし、トキワ焼きをもみじ饅頭みたいな郷土を代表するお菓子を作ってみたいなあっていうのは前から思ってるんです。でも、ちょっとお金がないからまだ出来てないってところですかね。やりたいことはいっぱいあります。

取材協力 福吉カフェ伏古店
札幌市東区伏古9条3丁目3—3
TEL 011ー792ー8507
https://www.fukuyoshicafe.com/

記事:スマイラー特派員
吉岡伸一郎(テンポス札幌白石店)