こだわりのある店が潰れるとは!?

2月27日、経営者向けセミナーに登壇したテンポスの創業者、森下が「こだわりのある店は潰れる」と話していたことが気になり、その後、詳しく話を聞いてみることにしました。(聞き手:テンポス広報)

乙丸
セミナーで「こだわりのある店は潰れる」と話されていましたが、一般的にはこだわりの無い店が閉店するのではないですか?

森下
「こちらは群馬県の野菜にこだわったお店です~!」なんて、取り上げられる店をテレビで見た人が勘違いして、自分もこだわりの店をやろうとする時点で、その人には死相が出てるよね。

乙丸
テレビ見ただけで死相が出るとかこわいです・・・
こだわりの店を見た人は何を勘違いするんですか?

森下
こだわり方を勘違いする人がいるんだ。新規開業で“こだわり”の店をやりたい人は、店創りにお金をかけてしまう。食器やスタッフのユニフォーム、わざと錆びさせた新品の窯を内装屋から買って古民家風の店を作ったりね。でもそれって、ほとんど独りよがり。こだわりとは言えない。

乙丸
悪く言えば、独りよがり。良く言えば“こだわり”じゃないんですか?

森下
日本には絵描きが何万人もいるだろう?その何万人は自分の絵を認めてもらいたくて描いているわけだけど、売れなければ、それは独りよがりとも言えるよね。ゴッホも200年売れなかったけど、認める人が認めたときに、ゴッホも独りよがりではなくなったということだ。

乙丸
お客様から認められない限り、こだわりは一生、独りよがりということですか。

森下
そうだね。それに、繁盛する前から“こだわり”にお金をかけていると、あっという間に資金が底をついて閉店に追い込まれてしまう。

ときどき、独りよがりの店でも、その店の業種業態がお客さんの要望とぴったり合って繁盛している店があるが、そんな店がテレビに出るから勘違いする人が出てくるんだよな。その独りよがりは、たまたまで、どこでも使える独りよがりではないよ!ということに皆気づいていない。

乙丸
独りよがりにならないためには、どうすればいいんですか?また、飲食店は何にこだわるべきですか?

森下
真っ先に商品開発。「味はいかがですか?」「値段はいかがですか?」「ボリュームはいかがですか?」、毎日毎日お客さんに聞いてまわる。じゃぁ、自分が修行してきた15年はどうなるんだ!という人がいるが、来ているお客さんがあなたのお店を認めるかどうかと、15年の修業期間は関係ないだろう?

常にお客さんの意見を集めて、ひたすら作り直す。こだわるべきところは、お客様が美味しいと思うメニュー開発をすることだよね。

乙丸
お客さんは素人ですから、意見を聞いてもあまり参考にならないのでは?

森下
お客さんが必ずしも正しいことを言わないのは、当たり前。大概の意見は参考にはならないけど、お客さんの意見には常に耳を傾けなければならない。この正反対のことを同時に進めながら、お客さんから集めた情報を店の方針に活かさないと、いつまでたっても独りよがりのまま。客商売というのはお客さんに合わせてやっていくことが大事だよね。

さっき、独りよがりの店がテレビに出てるといったけど、お客さんの意見を集めて徹底的に料理を極めたうえで、自分のこだわりを出して繁盛している店もあるから、テレビに出ている店が全部独りよがりだということではないよ。そこは勘違いしないでくれな。

乙丸
でも誰だってこだわりは捨てられないですよね。

森下
こだわりを出したいなら、お客さんが増えてきてから自分が本当にやりたいことを少しずつ出せばいいんだよ。本来は、競合店が何をしているのか、他の店を見ながら自分の店の改善を続けないといけないんだが、その話まですると長くなるから次回話すとするか。
乙丸
ありがとうございました!
森下
ところで、記事に載せてる裸の男のイラストは何だ
乙丸
とにかく明るい安村のパロディですよ。本当は顔だけ森下社長の顔に差し替えようとしたのですが、さすがに管理部に怒られるかなと思ってやめました


森下
そうか面白いな、こういうのはどんどんやっていこう

乙丸
2/27日のセミナーの様子は下記の動画から!