波長が合わない奴っているもんだ

財務のプロでM&Aの経験者の吉村(58)と行く事にした。
「シンガポールに行く前に現地で待ち時間の無いように、スケジュールをびっちり詰めてくれよ
現地の日本食レストランの店長か、経営者にアポを取って、現地の厨房工事の問題点を聞き出すように。」
一日後
「スケジュールが出来ました」
午前も午後もゆるゆるのスケジュールを持って来た。
「もっと詰めて作り直せ。社内の人間で向こうに進出している会社を知っている吉川か阿部に聞いてアポを増やせ。その他に福島工業にも聞け。」
「進出企業なら何でもよろしいでしょうか」
「飲食以外の会社で何処にアポを取るつもりだ。小松かよ、資生堂かよ。テンポスは何屋か知ってるだろうよ。」

シンガポールのタクシーの中から東京に電話している。
「16日の5時だったら本社に来てもらわないと時間が取れないが、6時だったらそちらにお伺いします。と伝えてくれ」
「はいそのように連絡しました」
「そうだ17日の6時だったら行ける」
「朝の6時でしょうか」
「テメーこの野郎!今までの5時だ6時は朝だったかいや!なんで17日の6時だけが朝でょしょうかだ。」

車に乗ろうとして俺が後部座席のドアのところに向かった。俺の後ろ2メートルのところから「どうぞ」と声をかけてきた。
「野郎!後ろからどうぞなんて、なんのつもりだ。」

「あの社長は営業系じゃないから、あんまり大袈裟にけむに巻いたような事を言うと、信用されないから、トーンを落として話せ。」
「分かってます」
「分かってますだとぉこの野郎!余分な事を申し上げまして失礼しましたと、言わせるのかよ。」

コンベンションセンターが馬鹿でかい。
バス停から向かったら目の前が3ホールだった。
右向こうの2ホールに、レジステイションと書いてある。恐らく入り口
「9ホールは何処でしょうか」
「3 4 5と左にいってるから、9ホールはずーっと左のまだ見えない方じゃないか。」
「聞いてきます」
「聞かなくたって左へ左へ行けばあるに決まってるだろうよ。」
テクテク、テクテク、テクテク歩いて9ホールについて、入り口の行列の最後部で待つ事30分
9ホールに入って目的の会社のブースは何処だと言ったら、
「2ホールです。」
「この野郎!2ホール行くのに、何で9ホールの入り口まで歩かせるんだ」
「不便なとこに入り口をつけたものですね。」
「ふざけんな!こんなでかいコンベンションセンターに入り口が一ヶ所のはずがないだろうよ。2ホールのとこにあったじゃないか。」

「向こうのFA(フィナンシャルアドバイザー)から連絡がありまして、叔父さんから横槍が入ったそうです。まとまりそうもありません。」と吉村の部屋から電話が来た。
「却って好都合。相手は売り先が無いんだから、1ヶ月於いて連絡しますと向こうのFAに伝えろ」
2~3分してから電話がきた。
「今かけて宜しいでしょうか」
「この野郎!かけろっつったらかけろっ」

夜はマルゼンのアジア担当と飯食って、こちらの様子をおしえてもらおう。
ホテルに来てもらった。
「晩飯はこのホテルでイイですか。」
「何言ってんだ、少しの時間でも日本食レストランに行って、そこの店長に話を聞きにきたんじゃないか」
「マルゼンさんと話を。」
「マルゼン以外にもいろいろ聞いた方がイイだろ!何処でも良いから近いところの日本食レストランに行こう」
「高島屋にします」
「近いか?」
「近くです」
高島屋に入ったが、入り口がよくない。
物販ばかりで、5~6軒のレストランは、日系ではない。
俺も面倒臭くなって、目の前の韓国焼肉店にした。
「ここの店で韓国の研究だ」
「ここは、焼肉屋です。」
「てめーこの野郎!焼肉屋って書いてあるじゃないか。なんの理由で俺に説明すんだよ!」

この野郎とまだ一日もある。アーン!