顧客満足
エリアマネージャーを集めて、店頭でできる顧客満足について取り組むことにした。
今頃、そんな事をテーマにする程、のんびりした会社、テンポス。
いろんなテーマが出て、何から手をつけたら、一番効果が上がるかという話になった。
其の時、仙台の川端マネージャーが、「そんなことを、やっているときじゃない」と、きた。
「テンポスは顧客満足の前に、顧客の不満足を、なくすべきだ」
「不満足が、そんなに多いか?」
「多いなんてもんじゃあないですよ」
「仙台はどうなんだ?」
「立派とは、いえませんが、他の店よりは、よっぽど良いです。」
1 電話にすぐでない
2 担当者がいないので、分かりません、と言う
3 店内で、客が、声をかけにくい、
4 薄汚い社員ばかりだ
こんな状態で、シャッターを開けるのは、客に失礼だ。
「具体例を挙げてみてくれ」
「リサイクル屋だから、汚れるのは分かる。川崎の店長の丸山は特に汚い」
「おう、おう、俺もそう思う。あいつの髪は、鶏冠(とさか)のようで、バイクで着いたばかりみたいな、
どうしようもない頭を、しているよなあ」
「テンポスの川崎店は、競輪場のすぐ隣です」
「おう、知ってる。開催日は紙がちらばってるよなあ」
「そんな場所ですから、店の出口のあたりには、5人の乞食というか、ブルーシートの住人がいます。
彼らにも掟があって、先日も新人の乞食が、テンポスの店のすぐ脇に、居を構えたら、5人の中の
町内会長に指導を受けていた。
「いいか、お前は乞食になったばかりで、日も浅い。堅気の衆に迷惑をかけるようなことをしてはいけない。
店のそばに、シートを張るなんざあ、10年早い。すぐどけろ。第一お前の服装は何だ。
ここらを歩いているサラリーマンと見分けがつかねぇ。
テンポスの店長の丸山君は時々店で鍋をやった残りもんを持ってきてくれる。
丸山君より綺麗にしたんじゃあ、彼を馬鹿にしたコトになるぞ。あの服装を見習え。
あれなら立派に乞食で通る。」 其の話を聞いて、さすがの丸山君、翌日から新人の乞食くらいの服装にした。
何日かして鍋の残りを、もって行ったら、自治会長が、「最近丸山君を、見ないが、転勤か?」
「私ですよ」
「えーっ 立派になったなあ」
「 顧客満足は程遠いです、」
「いいか、川端、この話は、人には言うなよ、インサイダーだよ」