あさくまをどうやって再建したか

人を育てる
14年前、あさくまを買収した時は、債務超過で、倒産寸前だった。
経営の本に決まって書かれているのは「現場の店長を経営に参画させる」という手法だった。それを信じた俺は、店長を積極的に経営に参画させるべく、30店の店長から改善点を書き出させることにした。
13年連続赤字の店長たちを、俺は経営に参画させようとして1年間、頑張ったんだ。改善すべき具体的な点は、店ごとに違うはずだ。だから、商品とか、サービスとか衛生管理とか、7つほどの大きな項目を立てて、店長たちには、その7項目それぞれについて、当面の1カ月間でやるべきことは何かを書き出させた。パーソナルシートという名前を付けてね。
ところが、ほとんどの店長たちは、「お客様にまた来ていただけるような顧客満足度の高い店を作る」みたいなことを書いてくる。当面の1カ月間で、何をやるべきかを聞いているのに、顧客満足なんて抽象的なことを書いてもダメだ。次には 明るい店にする」と書いてくる。これもダメだ。明るい店って、何をすれば明るい店になるのかまで、具体的に書かなければ話にならない。
お客さんが来たらどこにいても入り口に聞こえるような声で「いらっしゃいませ」という練習をする。
これならわかる、明るい店にするなんざ、何をするのかサッパリ判らぬ。
何をするか判りやすく書き出すことだ。
何回も書き直しさせて、翌月の店長会議でも、半日くらいを費やした。
1年かけてやる事を具体的に書く練習をさせた。
ところが、
何をやるかが明確になっただけで、実行する店長はいなかった。
引き継いだとき、前年比92%だったのが、それでも97%にはなった。
相変わらず100%を割っていた。
理屈を教えたって、やれる店長にしなければダメだ。
引き継いで6年目でやっと黒字になった。
それから6年で、上場した。
我々は、実務家なんだ