成功する人としない人の分かれ道

ビジネスアスリート 森下篤史

70歳になり分かってきたことがあります。
それは、成功する人、そうでない人の別れ道です。

皆さんは、チンパンジーが何回練習をすれば、「じゃんけん」が出来るようになると思いますか?100回?1,000回ですか?京都大学霊長類研究所によると、1日140回を100日間、計14,000回だそうです。これだけ練習してやっと出来るようになるのですから、900や1,000回程度の中途半端な練習量では、この先出来るようになるか、出来ないのか、その判断すらもつかない、ということが分かります。

あさくまの創業は昭和35年、全盛期は120店舗まで拡大させました。日常の世界からとび抜けた空間を作ろうと、1店舗に2億円をかけて、その時代に皆を驚かせて店を繁盛させていったのです。ところが、年商180憶をピークに業績は下がり続け、店は120店から30店に、13年間で90店舗が閉店しました。しかし、その間に遊んでいた従業員は一人もいません。真面目に一生懸命働いていました。ただ、お客様の好みの変化に対応できなかったのです。

飲食店はお客様の嗜好に合わせて、作り変えていかなければ、店は潰れてしまいます。しかし、上手くいくことはそう多くありません。上手くいかないことの方が多いです。メニュー開発と一口に言っても、あさくま程度の料理開発担当者は、美味しいものを作ることは出来ない。

我々にできることは、商品を試作して、食べてもらって、意見を聞いて、作り直して、食べてもらって、ここらで良いと思ったら、売ってみる。店員におすすめトークを練習させて、食べてもらって、意見を聞いて、売れ行きが悪ければ、また作り直す。料理の鉄人ならまだしも、我々には、美味しいものなど作れるわけがない。我々にできる事は、客が美味しいと言ってくれて、売れ行きのよい商品になるまで、何回も何回も作り直すことだけです。

大抵の人は中途半端な取り組みだけで、無理だと判断してしまいます。一方で、情熱がある人は、変化するために、何度も何度も、それこそ14000回チャレンジすることが苦だとも思いません。つまり、飲食経営において大事なことは、今の現状を打開したい、売上げを上げたいなら、何度も何度も売れるようになるまでやってみるということです。中途半端にやって、上手くいかなかったなどと判断してはいけないということです。 あさくまを引き継いで30店から今は61店舗、100億円突破が目前となってきました。
これからも、やり直し、やり直しを続けていきます。