環境ビジネスで、人の採用が難しい

 採用は難しい

かって、テンポスが10人くらいのころ 

 15年も前になるか 

仕事も軌道に乗って来た。もう一店だそう。

人を募集した。「環境ビジネス、エコの最先端、静脈産業」

キャッチフレーズにだまされて、一日に、電話が100件以上

翌日から、仕事が出来ないくらい、面接のアポをびっしりと入れて、待ち構えていた。

 あの電話問い合わせが、うそかと思われるくらい、面接に人が来ない。

次から次へと、ほとんど、ドタキャン

    理由

キャッチフレーズにうそはなかったが、

 問い合わせしてきた人の多くは、大企業のリストラされた人であった。

おそらく彼らは、電車に乗って、西川口から、バスに乗って、

テンポス1号店、にやってきた。

何を隠そう、テンポスはリサイクル屋だ

飲食店のリサイクルは、閉店したラーメン屋に冷蔵庫を、引き上げに行く

今日行くとしても、家主と借主、リース会社、さまざまの了解の後、つまり 

店を閉めて、3ヶ月たっている。

元ラーメン屋の、店に入る 友香はどろどろ、友香は家の嫁で、どろどろではない

床はどろどろ、冷蔵庫を開ける、すでに腐りかかって溶けはじめた、餃子の残りと、キャベツの残りとおもわれる、ものが一緒になって、

俺のような上品の育ちのものには、「げーっ げーっ げーっ」

三回以上の「げーっ」がつづく

「げほっ」を出す奴もいる

水を掛けて洗うのだが、飛沫が髪や、服に飛んでも気がつかない

 汚染濃度は、シーグラムや、PPMのレベルをはるかに超えて、固形物で髪がごわついてしまう

フライヤー  揚げ物に使う機械 

油粕をへらで剥ぐ 取り切れないまま引き上げてくる。

店といったって500坪もある倉庫 見た目にも倉庫 「ブックオフ」とは似ても似つかぬ、おんなじ業種なんていおうものなら、「あんたたちとは違うんだから、そばにこないでっ」って言われちまう。

 こんな事書くと、又人事の、実歳に「新卒の採用に、マイナスですっ」って怒られそう

 引き上げ品をいきなり店に入れるわけには行かない。外に積んでおくとどうしても、下のほうになったものは、2ヶ月、3ヶ月 放りっぱなしに成っちまう。

 季節も移りかわって、6月暑い日が続く、下のほうになったフライヤー

ゴキブリや、ショウジョウバエ、の、培養がすすんで、周りにまで匂いが漂ってくるだけじゃなく、コムシが、かすかに、「ぶーん」今じゃあ耳が、とうくなって、聞こえなくなってしまった。

 「環境ビジネス」で応募してきた人

 善良で、真面目に30年も、一つところにいた、世間知らず 大手の部長、課長だからこそ、我々、下層階級の、生活なんぞ、知る芳もない。

 リサイクル屋

 仕事を終えて、家に帰る、長屋が軒を連ねて、大工の留めさんの女房と、指物師の、八の女房、こいつは、三月前にとなりまちの、うどんや「はなまる」の女給をやっていて、八が、通いあげて、やっと一緒になったばかり。

 二人して、大声で、げらげら笑いながら、井戸端で、洗濯をしている

濡れないようにして、脇を通りぬけながら 

「お前らおろかものは、地球環境も、考えることをしない、げらげらわらってろ!」などと憎まれ口を、たたく

破れた障子を力任せにあける、そうでもしないと,立て付けが悪くて、すんなり入れるか、苦闘するかがここで決まっちまう。

まあ こんな生活を見たこともないような、大手の部長だった人たちが

バス停から、テンポスの店に向かってくる。

どこからだろう、この、初めて経験するにおい、東南アジアの、屋台とも違う かすかな不安を、覚えながら 歩をすすめる、臭いが強くなる、

悪い予感が、現実になってくる、ここまで来たんだから、面接し、話だけは聞いていこう、気を持ち直して店の、 前まで来る、強い臭いにまして

目の前を、虻、小ハエがとびかう、目の中にとびこんでくる、

作業着のおっさんは、自分の、顔や目の周りに、2~3匹のハエが、張り付いていても、気にする風もなく、「いらっしゃい」なんていってる。

都内から2時間も掛けてきて、不安をおし 自分を励まして、やっとたどり着いた、自分の第二の人生が、目の周りに、ハエを貼り付けてするしごとかよ!

 一気に腑切れてしまった。

此の大手のおっさんたちの、ほとんどは、店に、足を入れることなく

帰ってしまった。

これが後々上場し、世界を駆け回っている、後のテンポス、

其の時採用したおっさんたちは、

年奉3000万 4000万