うちの会社に、ジジイとババアの多いわけ

我が社は上場会社には珍しく、60歳以上の高齢者比率30%を、超えている。

50歳以上だと50%をこえている。高齢者を増やしたい訳でもないし、減ったからって、悲しいわけでもない。

年齢で区分けをする意味がないので、定年制がないから、ジジイとババアが増えてきたに過ぎない。

世間では評判が良く、厚生労働省など、表彰状と10万円くれた。

シンガポールの通産大臣一行14人が見学に来た。

産経新聞が本社で取材した後、川崎店に高齢者の働いている様子を見に行った。

その日は寒い日だった。記者は戻ってきて、私に言った。

「小雨の振る中外で,おじいさんが、水道の水で食器を洗ってました」

「それがどうした」

「小雨の外で食器を、洗っていましたよ。」

「外つったって庇があるだろうよ」

「あんなところで、いつも働いているんですか?労働環境劣悪ですねえ」
定年制をなくした訳。
天竜の支流の山峡の村で、90歳の父と85歳の母が段々畑を耕している。

村を離れてしまった長男の俺は、夏は月二回冬は月一回、百姓をしに帰っている。
いわずと知れた、過疎高齢者の村だ。西向き斜面の夏の日差しは強く、熊谷36℃なら41度にはなってしまう。
41度の炎天下を90歳が汗をかきかき、草を背負ってくると、86の敏郎爺としては、3割は余分に背負わないと

むら衆に、顔向けができない。82のゆう兄にいたっては、5割余分に背負ってなお小走りで降りてくる。
俺が草を刈っていると、86歳になった徳ちゃが「篤史は偉いなあ、毎月東京から百姓をしにかえってきてよ」

「徳ちゃ、ここは俺の家だもんよ」

「篤史はいくつになった?」

「62だがね」

「今時の若いもんにしちゃあめずらしいなぁ」
当時62歳の俺は水窪では若者ではなく、今時の若いもんだよ。
それがどうだ、東京にくると、60歳過ぎると、どいつもこいつも、ジジイずらしやがって、

リタイヤだとぉ、余生だとぉ おまえらぁ水窪へ行きゃぁ今時の若いもんと言われるんだ。何が高齢だ。

てめら、はたらけぇ、水窪じゃぁ90歳が41度の炎天下で、草を背負って、山から下りてくる。

外で食器洗ってたと言ったって、屋根の下だろうが。労働環境劣悪だと!ふざけろ!ばかやろう。
俺は働く場所を提供しているだけで、高齢者の面倒をみている訳じゃない。

八百屋が扉の中で大根売ってるか!ガソリンスタンドが部屋の中で給油しているか!

冬んなりゃア、若いもんだって中年だってみんな寒い。

それを、高齢者というだけで、労働環境だってかよ。そんなこというから経営者がびびっちまって、

年寄りを使わなくなるんだよ。うちは、自然体。働いてる年寄りを見てみなよ、1000坪の店内小走りだよ。

生産性なんて言葉も知らない。自分の健康管理で小走りよ。

朝なんか9時からなのに 7時半頃くるんだから、タイムカード関係なし。

家にいたって、しょんないだってさ。おかずなんか、たぁくさん作って来て、

お昼なんかハイキングだぜ。

梅酒造ってる人は飲ませたくて 食前酒。全く、何をやってるだか。