新卒川村聡子の思い出

川村聡子 新卒時代の思い出

夜 9時過ぎ 金子店長1人で明日の朝提出する図面と見積もりを作っていた。
このままでは12時過ぎても仕上がるかどうか、奮闘していた。
折悪しくお客様のクレームがはいったものの、図面と見積もりをほっといて、行けない。
電話口で、事情を説明したが、そんなに難しい故障ではないが、
往復すると2時間はかかる。
そこへこの春入社したばかりの新卒川村聡子が戻って来た。
夕方の納品に一人で行って、なんとか納めて来たということだった。
帰り支度を始めた川村さんに、直らなくてもいいから、客先に行ってくれないか、現地で判らないことがあれば、携帯で指示をするからと、
「故障なんて無理です、行けません」断わる聡子さんをなだめすかして、ようやく行ってもらうことにした。
大した故障じゃないどころではなく、携帯を片手に持ったまま、22才の娘1人で奮闘の末、修理させた。
12時半を回って、青ざめた顔で戻って来た。
髪が汗でよじれたようになって、目は半分潤んだようになっている。
金子店長は「ジュースにするか、アイスコーヒーにするか?」と言いながら台所で冷えたコーヒーを入れて「大変だったね、助かったよ」と言った。
聡子がコーヒーを2口3口飲んだ頃を見計らって、店長は「幕の内弁当と、唐揚げ弁当どっちにする?」と言いながら弁当を持って来て、2人で食べ始めた。
「なあ川村さん、こんな目にあって大変だったね。だけどね、もうここりごりと思うか、
社会人一年生の課題クリヤーと思うかによって、これからの人生が決まるよ。
誰が助けてくれるわけでもない、自分で乗り越えるか、逃げてしまうか。
全部自分で決めるんだよ」
近くに住んではいたが、遅くなったから送ってくよと、聡子の自転車をトランクに入れて、アパートまで送ってくれた金子店長!
あの時の暖かい気持ち忘れてません、ありがとうございました。。