Smiler 34
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石垣島で関西風お好み焼き店『まるじゅう』を営むのは、大阪出身の菊池恒雄さん、春美さんご夫妻。ご主人菊池恒雄さんは16年前、当時31歳の時にこの店を開業した。そもそも菊池さんは大阪、京都で外食の仕事をしていたが、石垣島全日空ホテルに転勤となり、そこで1年間勤務することになる。当初は1年程で戻る予定だったが、大阪の住居はすでに引き払っており、戻るにしても住居の確保から何から、お金がかかる、どうせならこれを機にと、石垣島での独立開業を思い立った。 石垣島での飲食店開業は、保証金などもなく、初期投資が大阪に比べて格段に安い。反面、地元のけて帰るつもりがかれこれ16年、すっかり主人に騙されました! と苦笑いするも、子供を育てるには最高の環境だと語る。 物件取得には約18坪の店舗で60万、大阪に帰り、家族で暮らす部屋を借りるだけでもそれくらいはかかってしまう。逆に言えば、それだけの初期投資で開業できたわけだ。外食経験は料理人としては長いが、経営者としては初めて、しかも沖縄は石垣島、開業当初は試行錯誤の連続だったという。 業態をお好み焼き屋にした訳もユニーク。中華のコックとしての経験、そして学生時代に月200時間にも及ぶお好み焼き屋店員を4年間の実績があり、そこで、観光客相手ではなく、あえて地元の島の人間ではないのでなかなか貸してくれなかった。保証人もいなく、ジェットスキー仲間が家主の弟さんの物件で、そのツテをたどりなんとか物件取得にたどり着いたという。そこから金融公庫などを回り開業資金に目処をつけ開業に至ったという。 そもそも菊池さんは、南の島での暮らしもいいかなという程度で、あまりそこまでの思い入れはなかった。転勤をきっかけにたまたまといったところで、当初は5〜6年やってからまた考えようと思っていた。そうこうしているうちに、子供が出来、いつのまにか石垣移住から16年が経ったということだ。奥様曰く、5〜6年で儲方々にリピートしてもらえるようにと、お好み焼き屋にしたという。 今ではお好み焼きを中心に、夜はおつまみメニューを充実させリピーターをしっかり確保、さらには中華の経験を活かした限定ラーメンを販売、これがウマイと、地元客に好評だという。 今後展望を伺うと、どうせならもう数店舗やってはみたいが、夫婦二人三脚でこの店を守ることがまずは大切という。いつかは大阪に? との質問には、帰るかもしれないし、このまま石垣に骨を埋めるかもしれないという。都会にはないお金に変えられない贅沢がここ石垣島の暮らしにはあるのだろう。まるじゅう店主の菊池が仕込むのはお好み焼きにも使われるオリジナルの出汁。さらに、お好み焼き店でありながら、限定メニューであるラーメンの出汁。中華料理のコックであった菊池さん渾身のラーメンは、本格ラーメン店さながらの絶品ラーメンとして、地元客を中心にリピーターが多い。そのラーメンの仕込みは、寝る間を惜しんで深夜遅くまで続くと言う。お店の営業はアイドルタイムを含み、ランチ12時~15時、ディナー18時~23時で夜は、おつまみメニューも充実しており、毎夜商連客で繁盛中09

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