Smiler 34
5/38

沖縄県全体の人口は、現在およそ144万人、その内、石垣島人口は約4・7万。これは登録人口とされ、これに5~8千人は幽霊人口と呼ばれる住民票を持たない居住者、さらには住所を石垣島に持ちながら実際には居住していない、いわゆる別荘族もいるという。また地元の方によると、ここ10年ほどの観光ブームで観光客は増えたが、2013年3月7日に「南ぬ島 石垣空港」で呼ばれる「新石垣島空港」の開港による観光客増を実感しているという。 その「南ぬ島 石垣空港」から車で目にした飲食店は、まず「いきなりステーキ」だった。ここ数ヶ月前に開業したばかりで、取材当日(2017年2月)同じく全国チェーンの「カレーハウスCoCo壱番屋」石垣島店が開業と、にわかに外食チェーンが本島における飽和感からか、「石垣島進出」を虎視眈々と狙っているように思える。また、セブン-イレブンより先に1号店をオープンさせた、最古のコンビニエンスストアチェーンとして知られ、石垣市内におけるコンビニエンスストアといえば、「ココストア」であったが、昨年のファミリーマートとの合弁によりその看板は姿を消し、現在も「ファミマ」の看板替えは続いている。海んちゅの酒場 まず訪れたのは、石垣島で代々漁師を営むマルゲン水産。代表取締役社長である上地肇さんは、まさに生粋の、島んちゅであり海んちゅだ。現在、59歳の上地さんは元々は漁師であったが、今から17年前、当時42歳で居酒屋を開業した。当時の石垣島には居酒屋業態がなく、あるのは高級割烹だけで、気軽に飲める店が少なかったという。また、海産食材が豊富であり、島でしか食べれない希少部位も多く、漁師ならではの発想から生まれたその居酒屋は大ヒット、さらに石垣島の観光ブームの波にも乗り、現在は中心街である美崎町、新石垣島空港店など石垣島市内に9店舗を運営する。まさに「先見の明」が繁盛店舗作りの源となった。 居酒屋業態での飲食店成功の裏には、石垣島の文化、土地柄、生活スタイルを熟知していることが挙げられる。例えば、石垣島の人々は、団体で飲む機会が多い割に、そうした宴会に向けた店が少なかったという。 元は海んちゅと呼ばれる、一介の漁師であった上地さん。10年前に法人化し、現在もなお、夏は鮪、冬は鰹の現役漁師であり、飲食店経営者として実績も着々と積んでいる。石垣空港店の店長を務めるのは長男である上地源力さん。次男、三男、長女も皆、一旦は石垣島を離れるも戻り、父親のサポートを行っているという。 そんな上地さんに今後の夢、展開を伺うと、「私は死ぬまで本業は漁師、80歳までは船に乗る」と語り、「子供の将来は子供達が決めること、継ぐ継がないは本人たち任せ」という。ゆくゆくは長男が会社を継ぐのか、という問いには、「それはそれでやるならやればいい、自分は船と店一軒あればいい。どうやら長男は飲食店が好きなようで漁師には興味はないようですが、三男は漁師がいいらしい、兄貴の元であれこれ言われながら働くよりも船に乗って自分でやっていきたいみたいですよ」と、何やら満足そうに語ってくれた。源 空港店[沖縄県石垣市字白保1960-104-1 石垣空港国内線旅客ターミナルビル 1F 営業時間 9時~20時 ☎0980-87-0448]の店長を務めるのは、上地さんの長男である上地源力さん(写真右上)。コラーゲンたっぷりのウツボ料理(写真左上)。石垣島でお酒といったらもちろん泡盛(写真右中)。石垣市内にて9店舗を展開展開(写真左中)。夏は鮪、冬は鰹、他にも通年を通し沖縄ならではの海の幸が水揚げされる(写真左下)05

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る