Smiler 34
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ATSUSHI MORISHITAテンポスバスターズ 取締役会長 森下篤史借金残高8億、首が回らない。離婚経験なし、幸せのような、不幸せのような。100才まで、現役。◎50才▶テンポスバスターズ創業代表取締役。◎55才▶ジャスダック上場。◎60才▶あさくま、M&A 代表取締役。◎67才▶グループ売り上げ、250億。◎68才▶グループ3年間で500億。7年間で1000億企業へ。海外展開。◎69才▶テンポスバスターズ取締役会長。が300万人いる中で、1億3千万人の人材から選ばれた出てきた選手と、300万人の中から選ばれた選手が勝負をすれば、大概、1億3千万人の中から選ばれた選手が勝つだろう。しかし、実際は、300万人の選手の中から選ばれた力士が横綱に就いている。横綱の4人のうち、3人がモンゴル人なんだよね。統計上では、日本人は1億3千万人の中から選ばれて能力が高いはずなのに、勝負には負けてしまうんだ。 つまり、我々が生きている競争社会での勝ち負けは、単なる能力の差で決まるものではないということが推測できる。では、勝負に勝ち続ける人と、そうでない人との違いは何なんだ? 競争社会を生き抜く強い人材とは? 65年前の話しだが、静岡の水窪という山奥に、従妹の妙子ちゃんが住んでいた。妙子ちゃんの幼稚園は山を1つ超えた先にあるんだけど、あの山を4歳か、5歳の子供が一人で歩いているとは思えなくて、最近、不思議に思って妙子ちゃんに聞いてみたんだ。「あのさ、幼稚園の頃ってどやって通っていたわけ?」って。すると、「知らない、忘れたよ。そんな昔の事」って答えたんだ。私からしたら、4、5歳でよく、毎日片道3時間も通っていたよなーって感心するんだけど、本人にとっちゃ、忘れるくらい当たり前の日常だったってわけだ。 一方で今の時代の25歳くらいの姉ちゃんに、「今まででの人生で辛くても耐えて苦難を乗り越えた経験ってある?」って聞くと、「高校3年間、台風の日も風邪で辛い日も、毎日50分かけて自転車で登校していました」って答えるんだ。思わず「バッキャロー!(笑)そんなことで辛かったとか大変だったとか思っているわけ?」って言っちまったよ。 こんなふうに、生活の中で当たり前に「耐える」を経験してきた人間と、ちょっとした程度の困難でも、「大げさに、この困難を超えるために頑張るんだ」と育ってきた人間とでは、そもそもスタートラインが違う。精神力のタフさそのものが違うんだ。家が貧乏とか、国家が貧乏だった人は、欲しい物が手に入らないという「耐える力」と、目標に到達するまで「諦めない力」が自然と身についていく。大人になるまでに諦めずに耐えるという経験を、10回も、20回も100回もしてきた人と、そうでない人とでは、精神力のタフさが違うんだよね。 だから、「耐える」ことが当たり前だった人達が、目標を持った途端に強くなる。日本人が困難だと思うことも、当たり前に困難を乗り越えるための努力をする。だから、モンゴル人の横綱みたいな強い人材が育つんだ。「耐える力」「諦めない力」がある人こそ、競争社会を生き抜く力を持っている人なんだよね。スタッフのテンションをあげて能力を発揮させよ 比較的裕福に生きてきた我々は、横綱に勝てるようにはならないが、「耐える」という場をたくさん経験すること、目標に向かって努力する経験を積み上げていくことで、能力を上げることができる。もとより、耐えてきた人には、足元にも及ばないかもしれないけど、ちょっとずつ、乗り越える練習をたくさんさせていくことが大事なんだよね。 一方で、スタッフのテンションを上げることで、能力を向上させることもできる。日頃から、スタッフに「すごいね!」と褒めたり、時には、「それはダメだよ」と叱ったりしながら、「あぁ、見てくれているんだな」と思わせる事で、スタッフの仕事のモチベーションを上げるんだ。 また、いつもより、少し努力を加えるだけで、「目標を達成できた」という場面をたくさん作ることも効果的だ。「+1」のわずかな努力で成功した経験、いわば、「小さな成功体験」を積み上げていくことで、スタッフのテンションを上げ、より能力を発揮させることができる。「スタッフを認める」「小さな成功体験を繰り返し経験させる」は、教育本やインタビュー記事でもよく見かけるが、何故それが大事なのか。 それは、ほとんどの人が、「耐える」ことに慣れずに現在に至っているということが前提にあるからだ。 だから、人を使う立場の人は、①耐えさせること、②スタッフを認める事、③小さな成功体験を続けさせること、この3つを人を育てる上でやらなければならない。 モンゴルの力士と競争していくという訳ではなく、耐える事に慣れていない、日本人社会で、どうやって力を発揮させるか、管理者の腕の見せどころだよね。ただし、横綱を目指す人を育てるなら、こんな程度の遊んだようなことをやっていては育ちはしないよ。19

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