Smiler 34
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スタッフには小さな成功体験を経験させることが大事です」、インタビュー記事でよく見るフレーズだが、何故小さな成功体験の積み重ねが大事なのか。それを理解するためには、まず、「人」とはどんな生き物なのかを知る必要がある。 19年ぶりに日本人の横綱が誕生した相撲業界を例に挙げながら、競争社会における人間の能力や努力について森下篤史が語る。「Leader Article競争社会を生き抜く強い人材とは「小さな成功体験の積み重ねが大事」と経営者は言うが、そもそも何故大事なのか? 100勝30敗の能力の差はどれくらいあるか 130回勝負をして30回しか勝てない人は、能力の差が大きすぎて、勝てるはずがないと思ってしまいがちである。 例えば、25㎏のバーベルを上げる人と、20㎏のバーベルを上げる人が勝負をしたとしよう。「どちらが強いか?」と聞かれれば、当然25㎏のバーベルを持ち上げる人が、100回勝負すれば、100勝するはずだ。この時の個人の能力差は、バーベルを持ち上げる力が25㎏対20㎏、すなわち10対8と考えられる。能力差は10対8と僅かな差があるだけでも、勝負は100勝0敗になるからだ。 しかし、100勝30敗になったとする。この時の、能力差は25㎏:24・8㎏、つまり、能力の差は10:9・6となる。100勝30敗にもなると、ものすごい能力の差のように思えるが、実際は、10:9・6の差しかないんだ。 これらのことから、能力が高い人間が勝負に勝つが、その能力差は僅かしかないというが分かる。 勝負に負けてしまう「能力が高い人」とは 一方で、能力が高くても、勝負に負けてしまうことがある。100人の村から選ばれた選手と、4000人の村から選ばれた選手が競争すれば、確率的には、4000人の村から選ばれた選手の方が能力が高いと言える。 例えば、相撲協会。日本の人口が1億3千万人、モンゴルの人口182017№34

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