ジェラシーの狭間に 団塊の世代 恋物語【一章】

smiler が小説を始めました。飲食に関係した話かというと、これがまったく違います。昼ドラのようなドロっとしていて、でも、目が離せない、そんな男女のお話です。そんなつまんなそうなの読みたくないって!?、まぁまぁこれがけっこう評判なんですよ。タバコでも吸いながら、どうぞ気軽に読んでください。「ジェラシーの狭間に 団塊の世代 恋物語」の始まり始まり~

【プロローグ】

僕は現在、67歳になります。30代はアパレル業界でそれなりに華々しい世界で生きてきました。今は、小さな会社を4年前から立ち上げて、機械部品の販売をしながらザックリ600万円程度の利益を上げています。2人の子供は結婚して、共に2人ずつの男の子に恵まれ、それぞれが人生と戦っています。妻との生活はもうすぐ40年になろうとしています。当然2人で年金も合わせて30万円近くあり、会社から受け取る給料を加えると十分な額になります。

こんなシチュエーションから始まる老年期ど真ん中のオトコの束の間に味わう、ほとばしる様な短い恋のてん末をを自伝的に書き下ろしたいと思います。

穏やかな終末近い人生に突然ふってわいた様な恋に振り回される主人公は明日のあなたかもしれません。この物語には、井上陽水の歌う“ジェラシー”をベースに書き上げていきます。

【一章 葉子との出会い】

初夏の日差しが眩しい中、ゴルフ練習場の駐車場に着いた僕はゆっくりとバックで多少斜めかなと思いながら車を止めて外に出た。まだ朝の10時過ぎにも関わらずムッとした空気が身体を包み込んできた。友人の山下がもう先に来ていると思うとつい手荒くトランクを開け、ゴルフバッグを肩に担ぎ、クラブハウスへ歩き出した。
「杉田さーん、おはようございます。」
突然名前を呼ばれて振り向くと、2か月前に偶然このクラブハウスで再開した大学の2年後輩で同じテニス部に所属していた市田君が何時ものニコニコ顔で僕を見つめていました。彼女はもう65歳になるはずだが、とても可愛らしいゴルフウェアを今日も身に付けていて、こちらも思わず笑顔で「おう、おはようさん」と答えていました。相変わらず小柄でふっくらした彼女は「おはようございます」と返してくれた。その時、ふと、彼女の隣に立って居る女性に気づきました。僕は170cmくらいですが、160cmちょっとの決してスレンダーではないが、すごくやわらかな印象の容姿に、伏し目がちな表情の丸顔だけど包み込む様な笑顔で僕を見つめる人がいました。それが葉子でした。その瞬間永く忘れていた感覚が突然蘇ってきました。
「山梨葉子です。」
燐として決して大きな声ではないが、澄み切った響きで僕も慌てて、「杉田修平です。宜しく」と返すのがやっとでした。その間もジッと涼しげに僕を見つめる目が怖いくらい落ち着いているのが不思議な印象でした。これが彼女との最初の出会いでした。

続く・・・

著 穂乃華 かほる