石垣島の漁師が挑んだ飲食店経営

代表取締役社長である上地肇さん

訪れたのは、石垣島で代々漁師を営むマルゲン水産。代表取締役社長である上地肇さんは、まさに生粋の、島んちゅであり海んちゅだ。

現在、59歳の上地さんは元々は漁師であったが、今から17年前、当時42歳で居酒屋を開業した。当時の石垣島には居酒屋業態がなく、あるのは高級割烹だけで、気軽に飲める店が少なかったという。また、海産食材が豊富であり、島でしか食べれない希少部位も多く、漁師ならではの発想から生まれたその居酒屋は大ヒット、さらに石垣島の観光ブームの波にも乗り、現在は中心街である美崎町、新石垣島空港店など石垣島市内に9店舗を運営する。まさに「先見の明」が繁盛店舗作りの源となった。

さにに、居酒屋業態での飲食店成功の裏には、石垣島の文化、土地柄、生活スタイルを熟知していることが挙げられる。例えば、石垣島の人々は、団体で飲む機会が多い割に、そうした宴会に向けた店が少なかったという。

元は海んちゅと呼ばれる、一介の漁師であった上地さん。10年前に法人化し、現在もなお、夏は鮪、冬は鰹の現役漁師であり、飲食店経営者として実績も着々と積んでいる。

石垣空港店の店長を務めるのは長男である上地源力さん。次男、三男、長女も皆、一旦は石垣島を離れるも戻り、兄弟皆、調理師免許を持ち、外食の仕事を生業とし、父親のサポートを行っているという。

マルゲン水産本店

そんな上地さんに今後の夢、展開を伺うと、「私は死ぬまで本業は漁師、80歳までは船に乗る」と語り、「子供の将来は子供達が決めること、継ぐ継がないは本人たち任せ」という。

ゆくゆくは長男が会社を継ぐのか、という問いには、「それはそれでやるならやればいい、自分は船と店一軒あればいい。

どうやら長男は飲食店が好きなようで漁師には興味はないようですが、三男は漁師がいいらしい、兄貴の元であれこれ言われながら働くよりも船に乗って自分でやっていきたいみたいですよ」と、何やら満足そうに語ってくれた。

取材協力(本文)
有限会社マルゲン水産
代表取締役 上地肇氏
沖縄県石垣市新栄町52-20
☎︎ 0980-82-0459
ishigaki-gen.com