石垣島の開業ものがたり~

(左)アパ土地不動産有限会社 玉城社長  (右)株式会社センチュリオン 藤木社長

繁華街である美崎町の中にあってその中心とも言える730交差点に店を構える、『オリジナルグラスワン石垣店』

こちらは沖縄琉球グラスにオリジナル彫刻を施す店で、本島にも3店舗を展開している。運営するのは、株式会社センチュリオン代表取締役社長である藤木伸也さん。もともと藤木さんは東京生まれの東京育ち、いわゆる沖縄移住組で成功を収めたひとりだ。現在5店舗を運営しつつ、石垣島永住を心に誓い、730交差点の店舗の2階にグラス彫刻を体験できる約80坪のワークショップ兼、お酒も飲めるイベントスペースを手がけている。この物件の内装を行なった知人であり友人の、地元不動産、内装業者のアパ土地不動産有限会社代表取締役である玉城良さんと共に、石垣島における物件取得、起業についての話を聞いた。

ーー石垣島での物件取得は容易ですか?

玉城「ここでは不動産屋に行って店舗物件を探しても、ほぼ出てこないと思ったほうがよいですね。物件は内うちで流すのが普通です。居抜き物件もなくはないですが、ほとんど情報として公開されることはないですね。もちろん全くでないということはありませんが、こればかりはタイミング次第としか言えないですね。」

藤木「私は石垣島で出店をしたくて、空き物件探していた時、この島で知り合った友達の“おじい”の親戚で地主で観光業をやっている方からおじいを通して、一ヶ月後に空き店舗が出るからという話をいただき、現在の石垣店の物件を出店することができました。」

玉城「那覇は国際通り、松山、県庁前、新都心など、その街々で繁華街が広がり、石垣に比べると比較的物件はあります。ある程度、業態がはまれば居抜きも多く、開業はしやすいのですが、石垣島は規模が小さくなかなか物件が出にくいと思います。それと、ここでは物件取得の際に保証金がないのですが、石垣の人は地元、移住者にしても以前から滞納が多く、店舗だけでなく、アパートを借りるにしても保証人を立てるのが重要です。保証人を立てつつ、さらに大家さんに対して保証会社をつける傾向があります。居抜き物件もなくはないですが、ほとんど情報として公開されることはないですね。」

藤木「私は元々東京出身で、新宿の歌舞伎町で飲食の仕事をしていたのですが、たまたま石垣島の出身の知人の影響で、7~8年前に石垣に旅するようになり、この土地、風土、人柄に魅了されて6年程前に、まずは那覇に住むことになりました。当時から琉球グラスに興味があったので、独学で彫刻も勉強して、5年前に『オリジナルグラスワン』を開業できました。そして、石垣島にも出店、この2階の物件も玉城さんの知り合いから情報をいただき、元は安宿だったところをぶち抜いてスケルトンにしてもらい、玉城さんにお願いして今の内装にしてもらいました。とにかく地元の人と仲良くすることが石垣島での出店の第一歩であり、もちろんその仲間がお客さんになってくれると思います。」

沖縄琉球グラスにオリジナルの彫刻を入れることができる

ーー今後は石垣島に永住ですか?

玉城「私は長男で、墓を守る義務がありこちらに戻ってきました。気候もいいし、人はいいし、とにかく住みやすいですよ。ちなみにそもそも私と藤木さんとは、東京で知り合ってからの付き合いなんですが、今現在、そしてこれからも石垣での飲み友達ではありますが(笑)。」

藤木「今後は、このスペースでワークショップをやりながら、夜は海で釣ってきた魚を持ち込んでパーティーをやったり、魚屋の知り合いに頼んで、マグロの解体ショーなど、地域の人や観光客の人達の溜まり場にしたいんです。商売は二の次、石垣島のコミュニティースペースというかとにかく溜まり場にしたいですね。」

石垣島での物件取得は、不動産情報ではなく、つまり口コミが一番安全で確実と語る二人。同世代であり、飲み友達であり、そして何より石垣島ライフを満喫している。そこには地元出身、移住組の垣根はない。ましてや観光客にも優しく接してくれる。移住、物件取得、観光の際のおすすめ飲食店など、とにかくこうした『地元の人々』との交流、そこからの情報が石垣島ライフ、開業の出発点となるのだろう。

グラスワンのワークショップ&コミュニティースペース

取材協力(本文)
株式会社センチュリオン
代表取締役社長 藤木伸也氏
沖縄県石垣市美崎町3番地 ORIGINAL GLASS ONE内
☎︎ 0980-87-5555
glass-one1.com

アパ土地不動産有限会社
代表取締役 玉城良氏
沖縄県石垣市真栄里873-1
☎︎ 0980-83-3080
apatochi-ishigaki.com