地元繁盛店主は25年間料理一筋

調理専門学校を卒業後、大坂の老舗割烹料理“喜川”の系列店の門をたたいた。喜川といえば、老舗割烹料理としてかなりの有名店。修行をしたいと、次から次へと人が入るため競争も激しく、7年~8年たっても焼き場しか担当できない職人も少なくない。そんな中、ふる田さんも、なかなかポジションが回ってこないことへの焦りを感じていた。「職人がありあまっていた時代、自分はできのいいほうではなかった」と話すふる田さんは、4年修業した店を辞め、新潟の割烹料理店へと移った。その後、新潟の店で3年半、地元松山での割烹料理店での10年の修業を経て、11年7月に“旬膳 ふる田”をオープンさせた。大阪での挫折と、18年という長い下積み期間だった。

店舗の最寄り駅の乗降客数は一日2100人程度。駅から徒歩5分にあった持ち家を改装して店を開いたわけは、「店前に12台の空き駐車場があったから、ここなら商売ができると感じた」と話す。オープン後は着実にファンを増やし、駐車場も16台まで拡張し、順調に売上を伸ばしている。

店内は45席。個室もありL字型の店内だ。昼の御前は1080円、1550円の二種類。夜のコースは2時間飲み放題付きで32420円~5400円。昼間は45席が満卓となるため、予約をしないとほとんど入れない。営業時間は、昼は11時半~14時、夜は17時~21時。

毎朝、5時半に起きて、松山市内にある三津市場に魚を仕入れに行っている。その日入った魚を目利きしながら仲卸から直接仕入れ、珍しい魚やお買い得な魚を見つけては、塩焼きにしよう、腹は刺身にして、身の部分はつみれにしてお客さんに出してみようかな、とあれやこれやとレシピを考えながら仕入れを行う。仲卸から直接仕入れているから、値段もリーズナブルに設定でき、昼は主婦、夜は家族連れや会社の接待利用等、幅広い客層が訪れる。

今後、駅前への出店等考えているかと伺うと、「今の店を守り続ける事で精一杯、新しく店舗を出すとかは考えていません。自分の目の届く範囲で、店を続けたいと思います。」と話してくれた。

25年間料理一筋。取材中は、終始ゆったりと物静かな印象のあるふる田さんだったが、仕入れの話しをしている時は、どんな魚があって、どんな料理にするのが良いのか、活き活きと話す姿に、「飲食」に注ぐ情熱がひしひしと伝わってきた。

旬膳 ふる田
愛媛県松山市立花3-7-15
089-921-2627

Smiler31号