漁師+魚屋+居酒屋 客のニーズから生まれた小さな6次化

「鯖といえば網元」と愛媛県内でブランドを確立しているのは、水産会社直営の“居魚屋 網元”です。株式会社網元が運営し、鯖をメインとした“居魚屋 網元”を2店舗、牡蠣をメインとした“海鮮網焼き 網家”の1店舗、計3店舗を展開しています。本店は、松山駅から徒歩10分。繁華街とは真逆の住宅地にあるにも関わらず夜はサラリーマンの客で店内を埋め尽くす繁盛ぶり。今回、2代目社長である、株式会社網元の代表取締役社長、向田伊之一氏にお話を伺いました。!

―向田氏

もともとは魚屋からスタートした居酒屋で、地元の愛南町で獲れる魚をBBQ形式で近所の人に提供していました。焼いていると物珍しさで、どんどん人が集まるようになり、この際、店を構えたらどうだろう、という経緯でこの店がはじまったんです。

最初は、屋台のような形からのスタートで、メニュー自体はなく、その日入った魚を料理して出していました。お客さんが目の前の魚を見て、「今日はこの魚を○○にしてよ」という注文スタイルです。しかし、営業をはじめてから、お客さんはその魚がどんな魚なのか?この魚はどんな調理が良いのか?等、よく分からずに注文していることに気が付きました。そのため、今では、お客様からの希望の調理法があればそれに応えますが、基本的には居酒屋らしくメニューを作ってお客様に提供しています。

何故、鯖なのか?

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―向田氏

お客さんがたくさん集まるようになってきたので、飲食を本格的にやろうと思ったわけですが、魚屋がただ飲食店をするのでは面白くない。「魚屋にしかできない飲食店をやろう」と考えた時に、”鯖”にたどり着きました。私たちはもともと水産会社からスタートしていますから、鯖の獲れたての旨さを知っています。普通の人が知っているのは、しめ鯖とか塩漬けにした魚とかで、生で食べるという事はほとんどありません。

鯖は「生き腐れ」と言われる通り、鮮度の低下が早いため、市場に流通している生の鯖は高値で取引されていますから、生で食べるとなると高級割烹料理店とかにんりますよね。しかし、私達の場合、叔父さんが獲ってきた天然の鯖を、愛南町の御荘湾沖の生簀で蓄養して、自社の活魚車を使い網元まで鯖を配送しているので、朝獲れの鯖を生で提供することができるんです。

店内に巨大な水槽を置いているのは、朝獲れた鯖や魚を水槽に入れて、注文が入ったら活き造りで出せるようにするためです。また、水槽にはウミガメとか金魚も入っているんですが、お客さんに、楽しく食事をしてもらえたらなと思い置いています。

魚屋だからできる飲食店の軸

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―向田氏

2013年4がtに”居魚屋 網元”の2号店をオープンし、14年11月に”海鮮網焼き 網家”をオープンしました。網家では2月~4月は牡蠣をメインに出しています。この牡蠣は、御荘牡蠣といって、愛媛の愛南町で獲れる牡蠣なんです。地の物を広めていきたいという想いから、私たちのところでも養殖して店に出しています。

今後の展開は?

―向田氏

もし、4号店を出すなら広島に出店してみたいですね。広島であれば、フェリーでも2時間ですから。関東にも興味はありますが、活きた魚を運ぶにはどこかで中継地点が必要になってしまいます。

魚屋だからこそお客様に喜んでもらえる飲食店という軸はぶらさずにこれからもやっていきたいと思います。

株式会社 網元

愛媛県松山市北藤原町2-1

089-933-8308

Smiler 2016年31号