愚直に憧れる小賢しい俺。

子供の頃
田舎の狭い坂道を、行商人が荷物を一杯背負って、汗ダクダクで登って行った。
知恵も何にもない汗の行商人は、「売れ筋」などという言葉もしらないだろうから、10年同じものを背負っているに違いない。
首の後ろにでかいコブをつけて、子供心に「ムラさ」と呼ばれていた行商人のコブを見るのが楽しみで、軒先で荷物を広げているあいだ、後ろに回って覗き込んだ。
ムラさ、も相手をしている祖母も、コブについては気にする様子もなかった。
こうやって、暑い日が続くと、突然「ムラさ」を思い出す。

競争社会に身をおく我は、実直だけでは生き抜けない。
昨日の研修講師のトレーニングでも、独りよがりの「一生懸命」では何にもならない。
あさくまハンバーグを今までよりも美味しいものにしたところで、競争会社のハンバーグの方が美味しかったら、その努力は成果を産まない。
努力の基準は「今までと比べて」から、「競争会社と比べて」にかえる。
一生懸命の結果、競争会社よりちょっと優っているかを基準にしないと、独りよがりの自己満足に終わる。
飲食業は、メニューの真似し易いので、商品寿命が短く、気が抜けない。
昨日の役員会は、来期のあさくま上場に向けて、体制作り。
幹事証券会社によると、来年の上場は、時期としては最高、株価収益率が20倍になるだろう。
今期上場直前期利益4億 来期6億で予想すると、1000円の値がつく。
既存店舗の収益性を更に改善する一方、出店を20店。
M&Aも間もなく決まりそうである。

IT通販は、価格調査員は毎日他社の価格を調べて、それも、1万点以上。価格を毎日変動させている。
特売のイベントも翌日は真似されている。
4年前迄は、楽天でトップだったのが、他社比較をおろそかにして、前年対比の伸びを見て喜んでいたら、何時の間にか3位になってしまった。
この一年は、毎日他社の動きを見て手を打っている。お陰で1位になったが、目標を売上10倍に変更して、やるだけやってみようと思っている。

凡そ愚直には程遠いところで生きてはいるが、汗ダクダクで口数の少ない「ムラさ」を思い出しては、「愚直」でなければな~。というのは、忘れてはいない。
楽して儲けてはいけない。企画で当てるような商売をしてはいけない。
俺たちの目指すところ「百姓テンポス」汗して働こう。
百姓は、ど偉い儲けなどない。俺たちはそれで良い。