明治の60歳と、今の6才の知識の量は同じ。

三田屋といえば、関西ではステーキ屋としては、ちょっとうるさい。
その三田屋の、東日本の専務を、あさくまで向かいいれた。
「1~2ヶ月店に出てくれ。」そう指示した。
あさくまの、稼ぎ頭「鶴見店」に行って貰った。この店は年間8000万の営業利益をあげている。
秋保さんは、元専務の肩書きを捨てて、朝から夜遅くまで、店頭に立って、現場把握に務めた。
その姿勢たるや、ひたむきで、好ましいものであった。
鶴見店長の千葉君に、働き振りを聴きに行った。
「現場を知らないから、ダメですね~。其れに年寄りだから、動きは悪いし、耳も遠くて」
散々の評価である。
「エリアマネージャーをやってもらうつもりだが、駄目か!」
「現場を知らないから駄目ですね~」
「エリアマネージャーをやるのに、現場を知らないと駄目か?」
「現場を知らないと、指導出来ないでしょう。」
「明治の初めの、60才と今の6才の知識の量は、同じだそうだ。今の6才が4年経って10才になったとしたら、明治の60歳の2倍位の、知識になるんじゃないか。
千葉君 お前だったら、60才と、知識2倍の10歳だったら、ドッチを店長にするか?」
「10才です」
「あさくまに、32人の店長がいる。彼らの実績は、知識のある順になってるかい」
「違うと思います」
「じゃあなんだ」
「経験の差だと思います。」
「5年店長をやった人と、10年やった人では、10年店長をやった人が、実績を上げるか?」
「そうとは言い切れません。」
「では、経験の差とは言えないよな。」
「20年の関口はあさくまへの思いは、お前に負けて無い、熱意もある。なのに、ナカナカ実績がついて来ない。10年にもならない千葉君は、鶴見店を任されて素晴らしい実績を残してくれた。年間8000万もの利益を上げてくれて、経営者の立場で言えば、感謝しているよ。対したもんだと思っている。関口と千葉の差は、何だ?」
「覚悟です」
「凄い事を、言うじゃないか。覚悟か」
「利益貢献をしようと言う 覚悟 です。」
「利益を出そうと覚悟を決めると、動きが変わるか?」
「私は、鶴見店で、一番生産性が高いです。」
「一番動き廻ってるって事か?」
「そうです」
「だから、現場を知らないと駄目ってことかい」
「そうです」
「この店は、40人以上のパートがいるだろうよ。お前が走りまわっているから売り上げが上がっているのかい。パートをほったらかしって事はあるまい。」
「遣らせる事が出来なかったら、一人で頑張ったって限度があると思います。」
「一人で走り回っているのと、指図してやらせているのとでは、ドッチが大事だ。」
「徹底させられるかです。」
「徹底させられるあさくまの店長は、テンポスの店長が務まるか。徹底させる事のできるテンポスの店長は、あさくまの店長が務まるか。」
「最初はくろうしますが、務まると思います。」
「現場を知らない秋保さんは、エリアマネージャーが務まるか?」
「この一ヶ月、秋保さんには、現場をやってもらっていましたから、エリアマネージャーが務まるかどうかは分かりません。」
「最初、現場を知らないから駄目だと、何回もいってたが、言う事が変わった事は、分かっているか。」
「はい、店長は、掌握して、徹底させられるかです。」
「お前の実績は、利益を出す事に集中して徹底させたわけだ。」
「そうです」
「仮にも、三田屋で、専務をやった人がお前のそばに、居るとしたら、現場を知らないから駄目だ。と思って接するのと。秋保さんここにいる間、短い期間でしょうが、店長代行してみてくれませんか。と言ってそのやり方を勉強するのでは、ドッチがお前のためになる?」
「教えてもらう方です」
「こんなチャンスはそうあるもんでは無い。にも関わらず、新参者の年寄りを、たかいところ目線で、耳が遠いだなんて言って、8000万の利益が、知らず知らずのうちに、お前を傲慢にしてるじゃあないのかい。
マネージャーの仕事は、目的達成のために、人にやってもらうことだ。
そうするために、掌握出来ないといけない。掌握出来なくて、徹底何てできるわけがない。
掌握する方法は、いろいろある。
今お前が、実績を上げたのは、偶々うまく行ったのかもわからん。
いろんな人の掌握の仕方、徹底のさせ方を勉強しておけば、店長どころでなく、エリアマネージャ、果ては、社長だってやれないわけではない。
自信を持つ事は大事だ、誇りももてるようになる。しかし、いろいろな出来事を
チャンスと捉えて、いつでも吸収る姿勢を忘れるな。」